『成瀬は天下をとりにいく』読書記録#1

2024年本屋大賞にも選ばれた
『成瀬は天下を取りにいく』

あらすじや感想をまとめました!

作品紹介

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　　中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍、閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。さらにはM-1に挑み、実験のため坊主頭にし、二百歳まで生きると堂々宣言。今日も全力で我が道を突き進む成瀬から、誰もが目を離せない！　話題沸騰、圧巻のデビュー作。

新潮社HP

滋賀県大津市を舞台に
成瀬あかりという主人公を中心とした
物語が描かれています。

視点や場面が違った６話がまとまっているので
読みやすい構成になっていました。

感想(ネタバレあり)

成瀬あかりの魅力

やはり、この物語の魅力は
成瀬あかりという人物です。

成瀬は、周りにどう思われるかなど
余計なことは一切考えず
やりたいことを淡々と実現していきます。

それは、200歳まで生きるという
実現できるかわからないものから
大きなシャボン玉を作りたいといった
少しの興味から生まれるものまで

やりたいことを真っすぐ実行していく姿に、清々しさを感じました。

そんな成瀬は、学校など周囲の人からは
変人扱いされ孤立していました。

それでも成瀬は、周囲の人を見下したり
卑屈になったりせず
周りからの助言は素直に聞き
時には助けを求めます。

そんな純粋で素直なところも
成瀬の魅力の1つではないでしょうか。

書店での帯に
「かつてなく　最高の主人公、現る！」
と書かれているのも納得です。

読めば読むほど、成瀬の魅力に引き込まれていく気がしました。

島崎みゆきの存在

成瀬あかりの物語は、成瀬の幼馴染、島崎みゆきの視点から始まります。

島崎は、成瀬と同じマンションに住んでいて、近くで成瀬を見てきました。
“見てきた”というのが大事で、島崎は成瀬と
特別親しくしているわけではありませんでした。

島崎も周囲の人と同じように
成瀬のことを変わっているなと思っている
1人にすぎません。

しかし成瀬は
西武大津店を中継するカメラに映りこむ
M-1に出るといった自分の計画を
島崎には宣言するし、一緒にやらないかと
誘っているのです。

こうして、島崎はいつのまにか
成瀬とM-1に出場しその後も
成瀬とかかわることが増え、親友のような存在になっていきます。

成瀬的には、幼馴染で同じマンションだからという単純な理由なのかもしれませんが
島崎が成瀬のことを否定しないことが
大きいのではないかと思いました。

島崎は、成瀬がやりたいと宣言することに
対して、そんなことできる！？と
ツッコミはしますが、引き止めたり
悪くいったりすることはしません。
戸惑いながらも受け入れるし
なんなら成瀬より真剣になっている
こともあります。

そんな島崎の適応力に
成瀬も心を許しているように見えました。

どんなことがあっても
自分のペースを崩さない成瀬も
島崎が、大学受験で
東京に行くことになった時には
いつもと違う行動をしてしまったり
考え込んでしまったり…
それだけ、成瀬の中で島崎が大きな存在
になっているということがわかります。

身近な物語

『成瀬は天下を取りにいく』では
滋賀県大津市を舞台に
実在する西武大津店、M-1、西川貴教
Twitterなどなど
固有名詞がたくさん登場します。

ものすごく現実的な物語だからこそ、成瀬の周りの人たちに共感できるし
成瀬が輝いて見えるのだと思います。

もしかしたら大津に行けば
成瀬に会えるんじゃないかと
思ってしまうくらい。

やりたいことをまっすぐに叶えていく
成瀬こそ鬱々とした現代で
みんなが憧れる存在なのではないでしょうか。

わたしも何かやってみようと力をくれる
成瀬はそんな希望です。

日々の生活に追われて
心が萎れた時には成瀬を思い出そう。

まとめ

特設サイトもあるのでぜひ！

宮島未奈「成瀬あかりシリーズ」特設サイト | 新潮社